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マズローの欲求段階説をコミュニケーションにどう生かすか?

マズローの欲求段階説とはアメリカの心理学者アブラハム・マズローが人間の欲求を5段階で理論化した自己実現論です。この理論では「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定して人間の欲求について作られた理論です。

 

この理論によると人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されており、低階層の欲求が満たされるとより高階層の欲求を欲するとなっています。

 

マズローの五段階欲求

【第1階層:生理的欲求】食べたい!飲みたい!寝たい!など生きていくための基本的、本能的な欲求。生命活動の維持に不可欠な必要最低限の欲求です。寝不足でおなかもすきノドも乾いている状態で仕事だのなんだの集中は出来ません。マズローの考えからこの生理的欲求を満たされないことには次の階層である安全欲求へはいかないのです。

仕事場に当てはめると・・・生活をしていくだけの給料や生命を脅かさない程度の労働環境を確保したいという欲求です。日本において一般的な労働環境では満たされていない事業者はほぼないのではないでしょうか?

 

【第2階層:安全欲求】安全・安心な暮らしがしたい(健康で家がある)、経済的にも安定した環境で過ごしたい。日本では治安が悪くいつ殺されるかわからないような地域はありませんが健康的なからだで帰れるおうちがあることはこの安全欲求を満たしています。治療に長い時間がかかる場合はこの欲求が満たされていない状態です。

仕事場にあてはめると・・・適正な労働条件、健康を害さない労働環境、法令が順守されている職場環境を確保したいといった欲求です。いつ仕事がなくなるかわからないような労働環境では安全に働けているとは言えません。

ここまでは秩序ある社会生活を求める欲求ですので、事業所として満たしていなければ緊急事態です!今すぐにでも改善に向けて行動しなければいけないレベル。満たしていない場合はいわゆるブラック企業です。

 

【第3階層:社会的欲求】家族や仕事の仲間など何らかのグループに所属しているという安心感を得たい欲求です。【親和の欲求】、【所属と愛の欲求】とも呼ばれます。どこにも所属をしていない孤独な生活はこの社会的欲求を満たしていない状態です。この状態が続くと精神的にも影響があるため注意が必要です。

仕事場に当てはめると・・・組織に仲間として受け入れてほしい、相談できる上司がいてほしい、信頼できる経営者あって欲しいというような何らかの集団に所属し自分を受け入れてもらえている安心感を得たい欲求です。職場に言っても話す相手もいない、話をしても聞いてもらえない、上司に相談しても対応してもらえないなどほったらかしの状態はこの欲求が満たされていません。

この階層が満たされなければ次以降の階層は満たされないため職場がこの状態にとどまっているのであれば経営者としてはこの階層をクリアすることに注力するべきです。

ここまでが外的に満たされたいという思いからでる低次の欲求です。


ここからは内的な心を満たしたいという高次の欲求です。

【第4階層:承認欲求】:所属する組織のなかで評価を得たい!自分の能力を認められたい!というのが承認欲求です。

仕事場に当てはめると・・・仕事で達成感を得たい、仕事で認めてもらいたい、適正な評価をしてもらいたい、出世したいといった欲求。この欲求を客観的にみることが出来るのが評価です。一定の仕事に対し公正な評価が得られ昇給をするといった一連の流れが承認欲求を満たしていきます。

この承認欲求には低次の承認欲求と高次の承認欲求があります。低次の承認欲求とは同僚や上司から認められるといった外的な要因で高次の承認欲求は自分自身が技術や能力を習得し自分自身で評価をくだし欲求を満たすものです。

この段階の欲求が妨害されるとやる気なし社員を量産することになります。

【第5階層:自己実現欲求】:自分自身の能力向上や成長に関心が向き自分にしかできない事をやり遂げたい!自分らしく生きたい!といった欲求です。

仕事場に当てはめると・・・自分の能力を発揮して会社のミッション達成に貢献したい、自分の夢を実現して社会に貢献したい!このレベルの欲求になると経営者としてやってあげられることはほぼなく自立した状態です。独立して離れられることがなければ良き右腕になっているでしょう。

 

これらの理論を組織のマネジメントにどう活かすか!?

組織の中で働いているポジションやその人の生活レベルなどによって各従業員がいる欲求の階層は異なってきます。先にもお話しましたが安全欲求以下がいまだ満たされていないようであればこれは早急に対応が必要です。

 

日本の医療機関であればほとんどの組織が社会的欲求~承認欲求の階層にいると思います。ここの欲求をしっかりと満たしていけるマネジメントを行っていかないと安全欲求へとダウンしてしまいます。安全欲求にダウンしたイメージとしては”給料がいいからとりあえずいる””仕事はつまらないけど近所だし”と言った感じです。

 

カネの切れ目が縁の切れ目とはよく言ったもので、このような従業員を抱えていると昇給条件と離職を天秤にかけるようになります。また職場環境が変わらなければ同じことを繰り返します。

 

所属することで自分の存在が確認でき、仕事に対して適正な評価を得られることで承認欲求を満たせる職場環境を作ることが持続的な経営に必須となってきます。