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長時間労働者への医師による面接指導制度とは

改正労働安全衛生法により労働者の健康管理の観点から長時間労働により疲労が蓄積し健康障害発症のリスクが高まった労働者について、その健康状態を把握し、これに応じて本人に対する指導を行うとともに、その結果を踏まえた措置を講ずることとなりました。

労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン

*ガイドライン原本についてタイトルをクリックすると厚生労働省からのpdfページが別ウィンドウで開きます。
以下は要旨です。詳細は上記リンクから原本を確認してください。

【趣旨】

労働基準法において労働時間・休日・深夜業務について規定を設けているが自己申告制の不適正な運用で同法に違反する問題がおきており使用者が講ずべき措置を具体的にした。

【適用の範囲】

労働基準法のうち労働時間に係る規定が適用される全ての事業場。管理監督者・みなし労働時間制が適用される労働者は除く。

管理監督者:単に職位や資格の名称ではなく職務内容、責任と権限、勤務態様など実態に基づき厳格な判断が必要とされます。

管理監督者と認められるための条件

① 当該者の地位、職務内容、責任と権限からみて、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあること。
② 勤務態様、特に自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること。
③ 一般の従業員に比してその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていること。

厚生労働省・確かめよう労働条件より抜粋

みなし労働時間制が適用される労働者:労働基準法では使用者が労働者を働かせていい時間は1日8時間、週40時間までですが、労働時間の把握が難しい場合など、事前に決めた時間を働いたとみなす労働時間制を認めています。
*昨今似た言葉で「みなし残業」を誤用したことによる労働トラブルが増加しています。定額残業代(通称みなし残業)には残業時間の上限が定められており、残業時間や休日労働をさせるためには36協定を締結し、労働基準監督署に届出なくてはならないなど厳しい制限があります。

【労働時間の考え方】

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間。労働時間に該当するか否かは、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものである。と、かなり厳しい表現がされています。
次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならない
ア:業務に必要な準備行為(白衣に着替える時間)や終業後の清掃時間。
イ:労働から離れることが保障されていない時間。(患者が来たら対応できる状態)
ウ:参加を義務付けた研修等。

 

今回の改正により使用者(経営者、会社)が行わなければならない事項について整理しておきましょう。

【労働時間の状況の把握】

客観的な方法により労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。
単に残業代の計算を明確にするという意味だけではなく、労働者の健康面を考え労働時間を客観的に把握できるように管理しなければならない事が法的な義務となりました。

○使用者による現認、記録
○タイムカード、ICカード等による記録
○パソコンのログインからログアウトまでの時間の記録等
○賃金台帳への適正な記入
○労働時間の状況の記録は3年間保存

 上記によらず自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、労働者への十分な説明・報告・申告を阻害しない措置など講じなければなりません。

【長時間労働者への面接指導の概要】

脳血管疾患及び虚血性心疾患の発症時間が長時間労働との関連性が強いとする医学的知見からこれら疾患の予防のために医師による面接指導を行わなければならないとされています。
また、この面接指導の対象とならない労働者についても、脳・心臓疾患発症の予防的観点から、面接指導または面接指導に準じた措置を講ずるように努めるようにとされています。

人件費管理という意味だけではなく使用者として労働時間のみならず体調面、メンタルヘルス面もしっかりと管理しましょうということです。

厚生労働省~長時間労働者への面接指導制度について~

改正労働安全衛生法のポイントより

面接指導チャート 面接指導要件 面接指導要件通知