モンスター社員との向き合い方ー組織を守るためにー
医療業界はとても個性の強い人が多いと言われています。言い方ひとつかも知れませんが一方で世間知らずと揶揄されることも多く感じます。
どうやって生まれる?モンスター社員
専門に特化した学校で回りも同業者に囲まれとても狭い社会環境でそだち社会にでるといったところに原因があるのでしょうか?一般的な会社(ある程度大きな規模の会社に限りかも知れません)では入社と同時に「社会とは何ぞや!?」ということを刷り込まれる研修を行い、名刺の渡し方・挨拶の仕方などのいわゆるビジネスマナーからはじまり取引先とのやり取り、営業とは・・・と様々な状況を想定したロールプレイングを行うなどして疑似社会を学びます。
このような環境を通らず例えば初めて属した職場が小さな組織で自由奔放であった場合、社会のルールはもとよりどういったことが適切か?を体感せずに過ごしてしまいます。また、運悪くその時に指導者がいない放ったらかしの状態で責任あるポジションにつくなどあれば天下を取ったかのような横柄な態度で取引先と対応をしたり後から入ってくるスタッフを見下す対応をしたりする残念な人材が育ってしまいます。
モンスター社員を見抜くには?
組織としてはできるだけこのような人材は採用したくないのですが、面接でどれだけ綿密に対策をしていたってなかなかわかるものではありません。そもそも面接に来てくれるだけでもありがたい状況ですから多少の違和感を感じても採用してしまうといったこともあるかも知れません。
しかし、上記のような社員は採用すべきではないですし万が一採用してしまってもしっかりと公正な評価を行うことで職場にて育成していかないと巡り巡って組織全体の不調和の根源になってしまいます。もし採用後にこのような社員を放ったらかしにしてしまうと次のようなリスクがあります。
〇自分の仕事・ポジション・処遇に不満がでると組織に対して不当性を主張する。
〇同僚との協調性を無視し福利厚生や有給休暇など労働者の権利を最大限に行使することで本来与えられたタスクが完遂しない。
〇職場内でモラルハラスメント・パワーハラスメントを行う
これは社会人としてはある意味わがままを一方的に言っているだけですが、労働者の権利を持ち出して主張することによってまるで正当性があるかのようになってしまっています。職場内にこんな人がいれば当然コミュニケーションは崩れモラハラ・パワハラを恐れて本来持つべき能力を発揮できない社員も出てきてしまうため業務効率の低下は甚だしいです。
どこの社会にも大なり小なり一般常識が通用しない人というのはいるものです。昨今のアルバイトによる職場でのふざけた動画投稿をみていると一般常識のレベルをひどく超えているように感じます。「一般的モラル」というのは定義もあいまいで生きてきた環境によっても大きな差が出ると思います。本人にとっては自由に自分の主張が通る環境で育ってしまったので仕方がないとも取れますが自分の経験・体験というのはその人にとって仕事の基準を作るものなので口で教えて修正するのはとても難しいことです。
しかし、難しいからと言って放ってはおけません。間違えなくこの手の人材は組織としてリスクであり健全な経営を目的に対応策を用意する必要があります。
モンスター社員への対応方法
対応策としては自らの組織にきちんと軸(ルールや風土、このような組織にしたいという経営者の信念)が定まっていることが前提です。採用面接の際にはこの軸をきちんと説明し見合わないようであれば今回はご縁なしときっぱり判断できるようにしなければいけません。採用の段階で軸に沿った人材(=組織の意向に共感している)が獲得できれば入職後の育成も容易です。
既にモンスター社員がいる場合は初めにその社員の主張をじっくりと聞く時間を設けましょう。話を聞いているうちに労働者権利を盾に理不尽でわがままな主張をしていたけれど実は原因はほかにあった!ということもあるかも知れません。
問題がはっきりとしたらその問題について組織として「できること」と「できないこと」を明確に説明する必要があります。このできること・できないことを明確にするためにはなぜ?できるのか、なぜ?できないのかの根拠を示せるルールがなければいけません。やみくもにそれはうちはできない!と言ってしまえばモンスター社員の感情を逆なでしてしまう可能性もあります。人間は感情で生きる生き物ですのでこういった社員にはより一層事実を淡々と説明し解決することに注意しなければなりません。
合理的な理由で説明し納得してもらうためにつくる軸は会社の経営理念、信念と言われる部分を元に人事評価制度としてルール化し組織に備えておけば対応できます。具体的には評価制度の中で
・評価項目や評価基準が明確となっているか?
・評価基準が合理的なものとなっているか?
・評価方法が適切なものとなっているか?
・評価者による評価のばらつきがないか?
・評価結果に著しい偏りがないか?
といった個所に注意を置き構築すれば良いのです。この評価項目や評価基準を決めていく際に会社として(経営者として)の理念が必要になってきます。人事評価制度というルールを構築する際に雇用条件とパフォーマンスとの乖離による「マイナス査定」や「降格」といった評価もいれておくことで組織として公平に行っていることがわかりますので労使問題になりづらいのです。また、万が一トラブルに発展したとしても度重なる面談や指導の履歴が人事評価制度内に残っていれば組織としては問題のない査定を施した証拠となります。
トラブル防止の仕組みを作るのは経営者の仕事!
大げさな人事評価制度なんていれなくたって注意すれば大丈夫だよ!そのように思う経営者もいらっしゃるかもしれません。もちろん経営者もしくは組織の管理者にあたる人がしっかりと教育しこのような事態が起きないように運営できるのであれば問題ありません。
人事評価制度は組織を健全に運営していくための仕組みの一つです。仕組みがあることで逐一頭を働かせて行動せずにすみ、働いている従業員たちも仕組みに沿って働けば良いという目標ができるので自分がなすべき仕事に集中することが出来ます。
トラブルやモンスター社員が活動し始めてからの対応はとても労力がかかります。トラブルが発生する前の防衛策として人事評価制度を構築し運営していくことが潤滑な運営をたすけ本業の効率化、従業員の組織への忠誠心向上につながっていきます。