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有給休暇取得の義務化

201941日改正労働基準法施行により有給休暇の取得が義務化されました。

 会社の規模が小さくなるほど有給休暇の取得が難しい傾向にあるかと思います。従業員からの有給取得のしづらさ、有給休暇取得率などを鑑み法律により義務化されました。使用者(=会社)が有給休暇取得の妨害をするなど労働基準法違反となれば罰則もありますので注意が必要です。

年次有給休暇制度

年次有給休暇制度は「6か月以上継続勤務」し、「全労働日の8割以上出勤」した従業員に対して会社は勤続年数に応じた有給休暇を付与しなければなりません。

年次有給休暇の付与日数

繁忙であることや会社・同僚への遠慮、休みづらい雰囲気などの理由から有休休暇を取得できず有給休暇の消化率の低さが社会問題になっている状況を鑑み、改正労働基準法では10日以上の有給休暇を取得できる従業員に対してそのうちの5日間は必ず取得させることが会社に義務づけられました。
*正社員のみならず契約社員、パート・アルバイトも対象(違反した場合従業員一人当たり30万円以下の罰金)

 

【義務化の対象から除かれる例】


〇従業員が年5日以上有給休暇を取得している
〇会社が計画的付与(全社一斉に特定日を有休にする、部署ごとに有休をとる、個人ごとにあらかじめ有休取得日を決める)によって年5日以上の有休を取得させている

年次有給休暇の日数のうち5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残しておかなければなりません(病気や個人的事由によって取得できるように)
年次有給休暇の付与日数が10日の従業員⇒5日
年次有給休暇の付与日数が20日の従業員⇒15日
までを計画的付与の対象とすることができる。前年度からの繰り越し日数がある場合でも5日間を残しておけば他の日数は計画的付与の対象とすることができます。

厚生労働省の労働時間ガイドラインから引用すると計画的付与制度の取得方法として

①企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与
②班・グループ別の交代制付与
③年次有給休暇付与計画表による個人別付与

の三種類が挙げられています。クリニックや薬局での運営を考えると①、②は実行しづらく計画的に個別の付与が妥当かと考えられます。

年次有給休暇付与計画表を作成して個別に有給休暇の計画を立てるのはとても手間に感じるかも知れません。

年次有給休暇管理簿の作成と管理・保存の義務

計画表とは別に、上記の5日間の有給休暇取得義務が果たせているかどうかについて「年次有給休暇管理簿」を作成し、各従業員の有給休暇の取得状況を把握・管理、保存することも義務づけられました。

年次有給休暇管理簿に関しては厚生労働省のホームページからテンプレートがダウンロードできます。
厚生労働省「年次有給休暇管理台帳」

年次有給休暇取得管理台帳

ご自身で管理するのも良いですが、賃金台帳や労働者名簿と共に担当の社労士に依頼した方が良いかも知れません。

この義務化された根本的な理由は従業員にしっかりと5日間以上の有給休暇を取得してもらう事ですので、管理に重きを置いて形骸化しないよう注意しましょう。