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ホーソン実験:労働生産性は物理的環境じゃない!人間関係だ!

この実験はアメリカ家庭用電気機器を生産していたホーソンという工場で行われ職場での生産性は物理的な環境条件ではなく人間関係に影響しているという結果をだした。

この実験結果から生産効率の向上には従業員の士気を高める⇒そのためには職場における人間関係の改善が必要という人間関係論が生まれた。

実験結果

照明実験:(仮説)照明を明るくしたら作業効率が上がるのでは?⇒変わらなかった

リレー組み立て実験:(仮説)賃金・休憩時間・部屋の温度を変え作業能率が上がる組み合わせを探った⇒賃金や休憩といった労働条件が改善されると作業能率は上がったが労働条件を元に戻しても作業能率は上昇をしたため関係性は見いだせなかった。

面接実験:聞き取り調査で上記実験の状況理解を試みた⇒個人的な経歴・職場の人間関係に左右された。

バンク配線作業実験:(仮説)現場の中に小さなグループが存在し社会統制機能をしている⇒仮説通り自然発生的に仲間ができそれぞれにルールができた。監督者に対しては防衛・共存的。作業の質は検査官と従業員の個人的な人間関係が反映された。

まとめるとタイトルにあるように物理的な労働環境や報酬よりも「監督者から注目されている」とか「仕事仲間の中に仲良しのリーダーがいる」といった感情的な理由によって生産性が左右されたということです。

 

そもそもこの実験は科学的管理法の実証のために行われました。

科学的管理法とは1日の作業量・作業手順などを決めて仕事の標準化をきっちりと固めること(マニュアル化)で作業を客観的・科学的に整理して管理するマネジメント方法です。アメリカのエンジニア:フレデリック・テイラーが提唱したので「テイラーシステム」とも呼ばれています。

科学的管理法

課業管理:課業とはタスクやノルマのこと。労働者の動きを実際に観察して客観的視点で適切な一日の仕事量を算出します。一連の流れを作業ごとに分解し【作業研究】、一つの作業にかかる時間を測定【時間研究】してそれぞれを熟練者の動きからどのようにしたら効率化できるか【動作研究】をみます。

作業の標準化:上記の結果から作業条件・流れを標準化しマニュアルを作成。経験値による作業の差がなくなるようになる。

差別出来高給:課業を達成したか否かにより異なる賃率で報酬が支払われる。ハードルが高すぎれば労働者の意欲が低下する。

職能的職長制:職能ごとにリーダをおけと。これまで一人でやっていた工場での職長の仕事は「コスト係」「準備係」「検査係」「修理係」「手順係」「訓練係」などにわけられる。

 

この科学的管理法によりアメリカの自動車メーカーフォードが一般市民に手が届かなかった『自動車』という高級品を多くの国民に提供できるようにするなど功績が残せた一方、労働者を機械的に扱っているという批判や労使の対立を解決するために作ったはずなのに職長制が管理者との対立を生むなど批判もあります。

上司からの期待で部下の生産性が向上するという話は”ピグマリオン効果”として聞いたことがありませんか?ホーソン効果とは何が違うのでしょうか?一言で言えば対象とする人が違います。

 

ピグマリオン効果⇒他者に期待することで『相手』の成績が向上する効果

ホーソン効果⇒他者から注目を浴びていることで自分(部下)が成績を上げようとする効果

ピグマリオン効果~従業員育成に役立つ心理効果

 

定義の違いはあれど職場の人間関係、上司と部下の信頼関係が従業員の生産性を左右している事には変わりありません。

 

売り上げを上げるための作戦がありそれを実行してもらうスタッフがいる。信頼関係のもと作業指示をだし快く働いてもらうことが必要なのです。