なぜ?経営計画が必要なのか?
経営計画というと何かかしこまった分厚い書類を作り従業員全員の前で発表するようなイメージを持つ方もいるかも知れません。
小規模なクリニックや薬局ではこのような儀式(?)は必要ありませんしむしろ無駄です。
経営計画の本質は経営者が今年一年どうしたいのか?について文書化し、それを数値を用いて具体的に分かりやすく社員に示すことで社員が行動を起こしやすくするというのが目的です。
組織の舵取りをするのが経営者の仕事
事業を運営していく中で社員の士気を高める取り組みは欠かすことが出来ません。しかし”ガンバレ!””ガンバレ!”と精神論だけに偏っていると社員の気持ちは疲弊し、上層部からのプレッシャーという名のエネルギーの受け止め具合によってばらつきが出てきてしまいます。
経営理念や経営方針というものは普段見えない社長の頭の中を見える化しているような役割です。
例えば、前年比集患数・加算適用件数などの収益に関わる部分、人件費・広告費などの支出に関わる部分これらについて従業員にも理解してもらい今年度にどのような目標を達成したいのか?その達成にはどういった行動が必要なのか?と細分化していくのです。
クリニックや薬局などの医療には経営計画は必要ないのか?
大々的に広告を打ってどんどんお客さん来てください!と宣伝できる業種ではないため経営計画なるものは必要ないのではないか?といった声も聞こえてきます。しかし本当に不要でしょうか?
科目による季節性の患者の増減、新規患者数の増減とそのフォローなど毎月数値の変化はあるはずです。もちろん予測的計画であり正確な数値ではありませんが計画した基準となる数値があればどれほどずれているのか?対策が必要な部分はどこか?といったやるべき事が導き出せます。
もし、支払サイクルと収益サイクルに大きな差があったり、粗利益を上回る支出が生じれば資金繰りも考えていかなければなりません。
医療機関の収益は保険点数という限られた範囲です。基本は診断・治療に必要な医療を施した分を点数として請求できます。しかし、必要な治療・処置を行っているのに加算を取っていないといったことは収益機会を知らず知らずのうちに損失しています。こういった気づかぬ損失を防ぐためにもどのような保険点数で収益が出ているのか?という分析が必要であり、改善の余地があれば経営計画に落とし込んでいく必要があります。
スタッフとのベクトルを合わせる
経営計画の本質は先にもお話した通り従業員がどこに向かって仕事をしていけば良いのか?を示すことです。
組織としてどのような方針を持ち、どういった計画を目標としているのか?をスタッフ全員に周知することで、それに向かってそれぞれの役割を持つスタッフは自分の持ち分の中でどのように行動していったらよいかを判断して働きます。
経営計画という本筋がなければスタッフが思い思いな方向に向かって仕事をしてしまい、組織としての団結力がないためチームで働く最大限の効果を得ることが出来ません。