調剤報酬改定2020対物から対人へ
経済財政運営と改革の基本方針2019いわゆる骨太方針にて対物業務から対人業務への構造転換を推進していく国の方針はちゃくちゃくと調剤報酬へと反映されてきています。
今回2020年の調剤報酬改定においても対物業務である調剤料の減点、集中率が高く備蓄品目が少ない事で高収益を得ているタイプの薬局区分へのメス。これは大手チェーンのみならず中小規模へも軽い警告がなされているような印象です。
一方、在宅を中心とした対人業務に関しては多くの新設加算と点数の増加が多くみられました。手厚い感はありませんが徐々に軌道を対人業務評価へと変えていく見通しが見られたといったところでしょうか。
対人業務への評価が加点に繋がり薬局の収益に影響します。薬局内での業務も新設された加算を算定していくためには薬剤師がしっかりと業務内容を把握し変更していかなければなりません。
後発品もある程度取れているから良いか!ではなくしっかり後発品加算3を算定できるように日々努力する。薬歴、お薬手帳の活用で乳幼児・特定薬剤管理指導加算を、そしてかかりつけ、地域体制加算を算定できるようになると経営に余裕が生まれます。
もちろんこれらの加算を算定するためには算定に値する指導、対応業務が必要であり、それを行うのは現場の薬剤師です。
毎日モチベーションも低く昨日と同じ明日があれば良いといった程度の働きでは当然算定できません。このモチベーションが低い従業員を作ってしまう理由は経営者による管理不足です。特にクリニックの横に薬局という箱を用意し人を詰め込んだら放ったらかしという状態を続けているとダメ従業員を量産します。
ダメ従業員であったとしても逆に今の状況が居心地よく離職に至らなければ薬局としての質は別にして人材に困ることはないかも知れません。しかし、上記にある対物業務から対人業務への構造的変革はまだまだ序章です。
今後より一層患者目線に立ち地域の中で一人一人の患者のためになる仕事に対して評価がなされる時代が来ます。すでにかかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師に表されるように常に同じ薬局にいる薬剤師でなければ評価が得られなくなっています。
入れ替わり立ち代わりで薬剤師が変わっていても門前のクリニックがあればある程度の患者は定期的に来てくれる。そんな収益構造だから薬剤師の離職に対してもその場しのぎの対応で過ごしていれば問題ない。これも一つの考え方かも知れませんしこのポリシーで運営する事に反対はしません。
しかし、働く側の薬剤師としては評価もされず同じ毎日の繰り返しで昇給も手当も変わり映えなしの薬局よりは少しでも評価され、認められていることを実感しながら働きたいものです。評価をしてくれるのであれば頑張りようもあります。
現場の薬剤師が調剤報酬の改定を鑑み薬局としての方向性を決め共に働く事務スタッフと共にしっかりと対人業務をこなしていける。しかも自発的に。このような好循環を回していけば薬局にとっても患者にとってもすべての従業員にとっても悪い事はないはずです。
調剤薬局への人事評価制度導入の必要性はここにあります。